ノルマンディ地方

ノルマンディ地方は、イギリス海峡に面したフランス北西部の地域です。経済の主となるのは漁業に牧畜、そして観光業ですが、造船業が金属加工、製油、繊維業なども盛んです。稚内より北緯の高いこの地域も、メキシコ湾流の影響で暖かく、夏は日焼け止めが欠かせません。この地域の観光業が発展したことは、経済にも大きな影響を与えました。美しい砂浜のドーヴィルやグロンヴィル、激しい断崖を持つエトルタなどは、フランスでも有数のビーチとして知られています。

ノルマンディ地方は、ワイン用の葡萄の栽培には適していませんが、代わりに上質なりんごを使ったシードル造りが盛んです。また、どの町にも必ず一種類は特産のチーズがあると言われるほどチーズの種類も豊富で、日本人が大好きなカマンベールチーズも、もともとはこの地方の特産品だったものです。ノルマンディの町を訪れたら、まずはおいしいチーズとシードルを探してみましょう。以下では、ノルマンディ地方の町をいくつかご紹介します。

Caen
カンは、ノルマンディ地方があるカルバドス県の県庁所在地で、オルヌ川が流れる港町であるだけでなく、鉄鋼業や紡績業、電子産業の町としても有名です。もともとは、ノルマンの英国征服で名高い征服王ウィリアムが城を築いた町で、ルーアンと共にノルマンディー公国の都でした。ウィリアム一世によって11世紀に建てられたサンテティエンヌ教会付属の男子修道院、王妃マティルダによるラ・トリニテ教会付属の女子修道院、サンテ・ティエンヌ・ル・ボーなどの見事な建築物が残っています。カン城の城壁の内側は、第二次世界大戦で破壊されてしまいましたが、その威厳は今もうかがえます。

Bayeux
バイユーはカンから電車で二十分ほどのところにある、小さいながらも歴史的にはとても重要な町です。11世紀に建てられたロマネスク様式のノートルダム大聖堂や、ノルマンディ上陸作戦記念館、またウィリアム一世文化センターには王妃マティルダのタペストリーが納められていて、英仏をはじめとする西洋の歴史に関心のある人は、必ず見ておきたい場所がたくさんあります。第二次世界大戦の戦火を逃れた数少ない町でもあり、15世紀以来の美しい建物もあちこちに残っています。

Cherbourg
コタンタン半島にあるシェルブールは、海軍基地がある港町です。1964年にカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画、『シェルブールの雨傘』の舞台にもなりました。町の外れにはトゥル-ビル城など、中世を偲ぶ建物も残っています。

Le Havre
セーヌ川の河口にあるル・アーヴルは、マルセイユに次ぐフランス第二の港町で、砂糖、石油、造船業が町の主要な産業です。対岸にあるオンフルールという町とは、1995年に架けられた全長2121mのノルマンディ橋でつながっています。オンフルールには、ルイ14世の下で権威を振るったコルベールによる港があり、今でもたくさんの船やヨットがとまっています。

Rouen
ルーアンは、パリから約115kmのセーヌ川沿いにあり、フランス第三の商業港のある町です。パリの雑踏に疲れたら、ルーアンで一日過ごすと良いでしょう。1063年に建てられて以来何度も改修されながら今も町の象徴として立ち続け、画家モネも好んで描いたノートルダム大聖堂に、この町でジャンヌ・ダルクが火刑されたことを偲んで建てられたジャンヌ・ダルク教会。16世紀に作られた時計台に上って町を一望したり、カフェやブティックが並ぶグロ・ゾルロージュ通りを歩いて、数世紀前のこの町の様子を想像してみるのも楽しいでしょう。

Mont-Saint-Michel
モン・サン・ミッシェルも見逃せません。イギリス海峡に浮かぶ小さな島の上に建てられたゴシック建築の修道院は、19世紀末に道路が造られるまで、潮の満ち干で文字通り孤島と化していた神秘の島です。カトリックの巡礼地であるだけでなく、その幻想的なたたずまいに魅せられた人たちが世界中から訪れ、パリからの日帰りツアーも数多く企画されてます。

美しい海岸線に、港や教会、古城跡。おいしいシードルとチーズ。ノルマンディ地方に行ったら、小さな町を何箇所か回って味比べしてみるのも楽しいかもしれませんね。