チェコ共和国

多くの中東欧の国々のようにチェコもまた、過去数世紀にわたって、民族や政治構成において大きな変化を遂げてきました。第一次世界大戦後の混乱期にはチェコスロバキアとして約80年間の不自由を強いられましたが、ユーロスラビアのような激しい紛争に発展することなく、平和的に独立開放を果たしました。チェコの人々は暴力を特に嫌い、困難な政治を余儀なくされた時代にも、常に流血の惨事を避けてきました。1989年11月、ベルリンの壁が崩壊した直後に起きたビロード革命の際には、20万人を越す人々のデモによって独裁政権を倒し、民主主義を手に入れました。

チェコ共和国の初代大統領バーツラフ・ハベルも、このチェコ人の理想を体現化した人の一人です。反体制の脚本家だったハベル氏は、何度も牢屋に入れられたり財産を没収されたりした後、民主化の扇動者として活躍しました。大統領在任中には、世界的ミュージシャンである故フランク・ザッパを国賓として招くなど、市民に近い政治を打ち出し、2004年の欧州連合加盟の基礎となるチェコの近代化に大きく貢献しました。首都であるプラハは、今ではヨーロッパでも最も人気のある街となり、何度も繰り返し訪れる旅行客もたくさんいます。

チェコには、1週間ほどの滞在にちょうど良いスパもたくさんあります。ゲーテやベートーベンなどの歴史に名立たる芸術家たちも、しばし癒しを求めてこの国にやってきたと言われています。19世紀初頭以来、チェコのスパは広く知られるようになり、イギリスやロシアといった遠方からも、たくさんの人が訪れ、ひと時の休暇を楽しむようになりました。チェコのスパでは、ゆったりとリラックスするだけでなく、慢性病の治療も行われています。

スパへの道のりでは、ボヘミアのなだらかな草原や山脈など、思わず目を奪われる美しい景色に出会えることでしょう。幾度にもわたる戦争から身を潜めていたチェコの郊外には、お城や邸宅がきれいに残っています。これらの優雅な建物がある場所では、人々は農業を基盤とした小さな地域社会で、今も伝統的な静かな生活を続けています。

西欧からの旅行客にとって、チェコは物価が安く、ゆっくりしとした時間を過ごせる国です。飛行機で簡単に来ることももちろんできますが、ちょっとした神秘的な雰囲気を味わうために、昔ながらの陸路で来る人も多いようです。列車での旅は、窓からの美しい景色を眺めながら中東欧の国々を回るのにも最適です。